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相手がセンターラインをはみ出してきても賠償義務を負うことについて

このエントリーは下記の記事に対して自分が思ったことを書いています。

開示されている情報も少ないので憶測なども含みます。

www.fukuishimbun.co.jp

車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが13日、福井地裁であった。原島麻由裁判官は「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。

 遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてという。

 

全国で初というのが今回の特異性を物語っていると思うのですが事故の概要は

A:運転手 ⇒ 居眠り、はみ出しで事故。任意保険無加入

B:Aの助手席 ⇒ 車の所有者。任意保険は家族のみ。事故で死亡。

C:対向車の運転手

死亡したBの家族にCが訴えられ4000万円の損害賠償を命じられた。というものです。自分の感覚では被害者はBとCでAが加害者なのですが判決では被害者BでCにも多額の賠償が命じられました。

一般に事故では過失割合が10対0になるパターンがあり、追突した場合、赤信号で事故した場合、そして今回のセンターラインをはみ出した場合です。

参考:【過失割合】自動車同士の事故で、過失割合が100:0となるケース|自動車保険|保険なるほど知恵袋|お客様とソニー損保のコミュニケーションサイト

ただ状況によっては過失割合は変わり0側(被害側)でも動いていると1割程度責任を負わされるようです。今回は通常被害者側となる事故で4000万円もの賠償を命じられました。

 判決では「対向車の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とした一方、「仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったはいえない」と、過失が全くないとの証明ができないとした。

次に判決ですがどのタイミングでセンターラインを超えたのか衝突の直前なのか前から分かっていたのか分からないけどもし後者ならクラクション鳴らせば止められたよね。で4000万円です。(4000万円連呼していますが金額を言いたいわけではありません)相手がどのタイミングでセンターラインを超えたかを証明するには今回の居眠りだと本人は寝ているので見ていないわけですしブレーキ痕も当然無し。分からないから過失有りとなるなら今後はドライブレコーダー必須です。自分の無実は自分で証明しないといけない世の中になっているようです。

クラクションの件ですが仮に100m前に気づいたとして共に30km/hで走っていると衝突まで6sec、50km/hで3.6secです。自分は普段運転していますが一般道で100m前に気づけるかも微妙ですし5sec程度で居眠り運転の運転手に気付かせて事故を回避する自信はありません。むしろ避けようがないから10対0に設定されているのだと思います。クラクションも必要というなら車内の録音機能も付いたドライブレコーダー買いましょうとしか。。

 

追加でこんな記事が出ていました。

www.fukuishimbun.co.jp

 原告側の代理人を務めた宮本健治弁護士によると、自賠法では「人身事故が起これば、自動車同士なら互いに共同不法行為となる。少しでも過失があるとなれば賠償責任が生じる」という。一見、「もらい事故」という形でも、無過失の証明ができなければ責任があるというわけだ。

(略)

 自分に過失がなくても、相手が任意保険に加入しておらず、十分な補償がしてもらえない場合がある。今回の判決のほか、他者運転危険担保特約や人身傷害保険など、さまざまなケースを救済できる仕組みがあることを知らない人も多いという。宮本弁護士は「なんとかなる場合が大変多い。諦めず検討してほしい」と話していた。

運転している以上責任があるのは仕方がないと思うのですがなんかAでは保証しきれないから過失あるCの保険を使って被害者保証すればいいじゃん。に見えます。本来はBの死亡によって発生する損害がたとえば1億円だとすると過失割合がA10対C0ならCは0円、A9対C1ならCに1000万円だと思うのですがそこら辺が見えてきません。被害者が救われるならいいじゃんとなりそうですが今回の判決が支持されてしまうと自分の過失を保証するだけでは足らず保険料が高くなることが予想されます。そうで無くてもCは保険使えば翌年から高くなります。Bが家族限定にしている為に出なかった保険を自分の保険を使って負担するのは納得できないです。

 

今後控訴するのか分かりませんが車を運転する身として着目していきたいです。 

 

 

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 弁護士の名前でググったら最近有名な仮処分を出した裁判官だった。

 

2015/5/9 追記

少し詳しく載っていました。

 

thepage.jp

  今回の事案、対向車のドライバーには保険がなく、衝突された車両の所有者の保険から賠償を受けられなければ、遺族が賠償を受けられないという事情があったようで、この点が、裁判所の判断(事実認定も含めて)に影響があったのではないかとも推測されます。

 こちらを読んでも保険などの状況によって判決内容が変わることはおかしいと思います。